
OUGI LAB(オウギラボ)とは
—— 技術の“奥”にあるものを、次の世代へ
OUGI LAB(オウギラボ)の「OUGI」は、単なる技術やノウハウではなく、長い時間をかけて培われてきた “奥義” のようなエンジニアリングを意味しています。
設計や製造の現場には、図面や仕様書だけでは伝えきれない判断、経験を積んだ人だけが知っている勘所、失敗と試行錯誤の中で磨かれてきた思考があります。
それらはしばしば
「見て覚えるもの」
「一緒にやらなければ分からないもの」
として、人から人へと受け継がれてきました。
OUGI LAB は、そうした 言葉になりにくい技術や判断を “奥義” と捉え、消えてしまう前に記録し、整理し、次へと伝承していくためのプロジェクトです。
CAD と製造の現場から始まるエンジニアリング
—— 図面の先にある「判断」を残すために
OUGI LAB が扱うエンジニアリングの起点は、CAD を用いた設計と、ものづくりの現場にあります。
寸法の取り方、加工を見越した設計、素材や工程を理解したうえでの判断。製造の現場では、こうした知恵が日常的に使われていますが、多くの場合、体系化されることなく個人の経験の中に留まってきました。
OUGI LAB は、CAD 設計と製造の現場で培われてきたこうした “奥義” を、そのまま失わせるのではなく、伝わる形へと翻訳し、継承を仕組みとして成立させることを目指しています。

エンジニアリングを、どう捉えているか
—— 技術は、単独では存在しない
OUGI LAB が考えるエンジニアリングは、単なる設計手順や作業工程の集合ではありません。
CAD 上で線を引くこと、寸法を決めること、加工方法を選ぶこと。その一つひとつの判断の裏には、素材への理解、製造現場の制約、過去の失敗や成功の記憶が積み重なっています。エンジニアリングとは、そうした複数の要素を同時に見渡し、最適な判断を重ねていく思考そのものだと、OUGI LAB は捉えています。
製造の現場では、「なぜそうするのか」をすべて言葉で説明しなくても、経験を積んだ人同士であれば通じてしまう判断があります。しかしその多くは、図面や仕様書には残らず、人の入れ替わりとともに静かに失われていきます。
OUGI LAB が扱おうとしているのは、そうした言語化されにくい判断や思考のプロセスです。完成した成果物だけでなく、そこに至るまでの考え方や迷い、選択の理由も含めてエンジニアリングだと考えています。
だからこそ
「作れること」
だけでなく
「なぜその形に至ったのか?」
を伝えることが、次の世代にとっての本当の継承になると考えています。
なぜ今、日本のエンジニアリングを残すのか
——失われるのは、技術ではなく「考え方」かもしれない
日本のものづくりは、高い精度や品質だけで語られることが多くあります。
しかし、その強さを支えてきたのは、設備や規格だけではありません。
設計段階でのわずかな判断。
加工や組み立てを見越した寸法の取り方。
図面には書かれないが、現場では共有されてきた工夫。
日本のものづくりは、そうした人の思考と経験の積み重ねによって成り立ってきました。
それらの多くは、長い時間をかけて現場の中で磨かれ、言葉にされることなく、当たり前のように使われてきた技術です。だからこそ、記録されないままでも機能してきました。
しかし今、人の入れ替わりや環境の変化が進む中で、そうした技術は引き継がれる前提そのものが揺らぎ始めています。OUGI LAB が問題として捉えているのは、日本のものづくりが衰えることではありません。培われてきたエンジニアリングが、残らない構造のまま失われていくことです。
CAD 設計や製造の現場で使われてきた判断や工夫は、マニュアル化されなかったからこそ、柔軟に機能してきました。しかし同時に、それは「分かる人がいなくなった瞬間に消えてしまう」脆さも併せ持っています。
OUGI LAB は、そうした日本のものづくりを支えてきたエンジニアリングを、過去の成功として保存するのではなく、次の世代が使える形で残していくことを目的としています。
エンジニアリングを残すことは、伝統を守ることでも、懐かしむことでもありません。未来の設計や判断が、より良い地点から始まるための土台をつくることだと、OUGI LAB は考えています。

オウギ博士の役割
—— 知識ではなく、問いを手渡す存在
OUGI LAB に登場するオウギ博士は、特定の立場から何かを教え諭す存在ではありません。
設計や製造の現場で培われてきたエンジニアリングを、そのままの形で次に渡すことは、決して簡単ではありません。専門的で、前提知識が多く、言葉にしづらい判断も含まれているからです。
オウギ博士の役割は、そうした言葉になりにくい技術や思考を、翻訳し、整理し、伝えることにあります。
現場で当たり前に行われてきた判断を
「なぜそうするのか?」
という視点でひも解き、背景にある考え方や前提条件を浮かび上がらせる。必要であれば、図や言葉に置き換え、次に学ぶ人が立ち戻れる形として残していきます。
オウギ博士は、技術そのものの主役ではありません。
主役は常に、現場で積み重ねられてきたエンジニアリングです。
OUGI LAB は、オウギ博士という語り部を通じて、設計と製造の現場で培われてきた “奥義” を、次の世代へと静かにつないでいくことを目指しています。
このプロジェクトとの関わり方
—— 完成された答えは、用意していません
OUGI LAB は、完成された答えを提示する場ではありません。
設計や製造の現場で培われてきたエンジニアリングを、どのように残し、どのように伝えていけるのか。その問いに向き合い続けるための、ひらかれた実験の場です。
技術を持つ人が、自身の経験を振り返る場所として。
次を担う人が、思考の痕跡に触れる入口として。
あるいは、日本のものづくりの未来について、静かに考えるきっかけとして。
OUGI LAB は、そうしたさまざまな距離感で関わることができるプロジェクトでありたいと考えています。相談という形でも、対話という形でも、ただ見守るという関わり方でも構いません。
ここで扱われるエンジニアリングは、誰か一人のものではなく、時間をかけて受け継がれてきた知恵の集合体です。OUGI LAB は、その知恵が次へと渡っていくための「通り道」を、静かにつくり続けていきます。
